こじんじょうほう

ここでは普通の話しかしません

凧があがる空の方が団地だよ

テレビからも催事からもご近所付き合いからも離れて生活を送っているので、旧年中はまったく年の瀬感がなく、同様に新年感も全くないままに6連休が終わろうとしている。

 

このままでは三箇日が虚無に吸い込まれて消えてしまう。なんだかわからない焦燥と使命感を抱えながら居ても立っても居られずに家を飛び出したものの、向かった先はキャンドゥであった。隙間テープを買いに行くためだ。

ここ最近は夜間の異様な底冷えもあって、玄関の防寒対策に凝るようになった(いくら凝っても趣味欄には書けない)。凝り性の人間に目的を与えると際限なく改良を重ねようとするが、「仕事」として請け負ったわけでもないので何をするにもとにかく当てずっぽうで、必要な幅も厚みもろくに測らないで買うものだから二度も失敗している。三度目の正直となるのか、はたまた二度あることは三度あるとなるか。きちんと事前に測れよと思わなくもないが、生活を賭けた一口110円のギャンブルに溺れてしまっている節もあるのだ。

なお、触れると氷のように冷たい鉄製の玄関扉は現在、美観を犠牲にして熱効率を上げた結果このようになっている。THE SAPPUKEIである。

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バスで行った道を帰りは歩いてみる。なにしろ三箇日、時間はたっぷりある。いや、たっぷりあったのだ。わずかな残り時間を満喫する方法を考え続けても「歩く」以外の選択肢が出てこなかった。

ものはついでと、たまたま道中にあった寺へ立ち寄って初詣などしてみた。冷たいを通り越して最早ちべたい手水舎で手を清め、5円(ご縁)の賽銭を投げ入れて、ふと見ると空に凧があった。それも1つや2つではなく、10を超す凧たちが正月の晴れた空にあがっている。妖精でも追いかけるみたいに吸い寄せられて近くの公園へ出ると、大勢の家族連れが広場で凧あげをして遊んでいるのだった。

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そうやってただぼうっと、体感にして10分くらい、団地の空にあがる色とりどりの凧を見ていた。煙草か缶コーヒーのひとつでも携えていたならば少しは絵になったかもしれないが、あいにく隙間テープとクリアファイルの入った有料レジ袋しか持ってないんだわ。